高電圧PCB設計についての検討事項

夜景をバックにした送電線

 

 

私は以前、高電圧の応用は電力工学だけに必要なものだと考えていました。発電所や変電所で働く気はまったくなかったので、高電圧PCBの設計について学ぶことを免れていたわけです。ところが、空間の応用に興味を持った時点で、その考えが間違っていたことに気付きました。そして、怠惰な自分と向き合わざるを得なくなってしまったのです。高電圧の応用は、製造や発電所から医療や航空宇宙まで、ほぼすべての業界に存在しています。

高電圧の応用に向けたPCBの設計では、設計や製造の全工程でさまざまな内容を検討しなければなりません。基板は過酷な状況で稼働することが条件となっており、部品や材料の寿命に大きな影響を受けます。これに挑戦しようという意気込みがある場合は、レイアウトの作成を開始する前に、いくつかの検討事項を確認しておきましょう。

動作周波数についての検討事項

製品の動作周波数は、ESDと同様に高電圧設計に影響を及ぼし、ノイズ管理は基板に影響を及ぼします。これは、高周波が低い電圧でアーク放電を成し、信号線の周辺でより厳重なスペースが必要になるからです。

周波数帯のもう一端にある低電圧DCについても、特別な検討が必要になります。特定の環境条件では、DC差動がエッチングやエレクトロ ケミカルマイグレーションの原因になることがあります。これらはどちらも望ましいものではなく、エレクトロ ケミカルマイグレーションは高電圧設計の性能や寿命により大きな危険をもたらします。というのも、導体パッドやトレースにwhiskerと呼ばれる微細な導電性のフィラメントが「成長」し、最終的には電位間でショートが発生する可能性があるからです。ここでは少なくとも、アーク放電を成しやすいポイントが発生し、基板の効果的な沿面距離と空間距離が減少します。

エレクトロ ケミカルマイグレーションはスズや銀で最も多く発生するものの、ときには銅でもフィラメントが破壊されることがあります。危険を最小限にするためには、不純物を含まないスズや銀をPCBの仕上げに使用しないことです。スズを使用する場合は、鉛の含有量が少ないものが推奨されます。そうすることで、導電性のフィラメントの「成長」が大幅に抑制されます。

 

 

InAs whiskerの成長を示すSEM画像

多くの金属はwhiskerを成長させる可能性がある。スズのwhiskerの外見はfractallineに似ていることが多い。

 

 

コンポーネントのディレーティング

ストレスの多い環境向けの設計を行う際は、コンポーネントの許容差が「引き下げ」られます。つまり、製品で使用されるコンポーネントや材料の寿命を延長するために、機能する電流、電圧、温度の最大値を下げることになります。多くの場合、値の算出には製造業者のレーティングが使用されます。通常、この率はMIL規格のほか、製品が利用される環境や顧客によって指定された仕様によって決定されます。

多くの場合、材料は想定される平均パラメータ値までディレーティングされますが、これによって要件が緩くなり、製造コストも低下します。ただし、高電圧設計には基板でのアーク放電やコロナ放電の原因となる過電圧の危険があります。過電圧発生時の製品の生存性を向上させるためには、電圧を平均値に下げるのではなく、最大限にディレーティングすべきでしょう。

コンポーネントの選択

最初に選択したコンポーネントが製品の使用環境で存続できないことが、ディレーティング後に判明する場合があります。すべてに合格したとしても、各部品をもう一度見直してください。高電圧の環境は、PCB全体の電界を大きく変動させる原因になるだけでなく、個々のコンポーネントの内部で電界ストレスを発生させます。それぞれのコンポーネントの信頼性を確保するために、Sierra Proto Expressではマージンを少なくとも1.5:1、できれば2:1という高い値に設定することが推奨されています。https://en.wikipedia.org/wiki/Factor_of_safety - Margin_of_safety

場合によって、電圧の変動はコンポーネントを損傷するだけでなく、コンポーネントが基板全体のアーク放電を行うためのポイントになってしまう原因となります。ケースや縁の角度が電界を集中させるほど鋭い場合があるため、コンポーネントのパッケージングについても慎重に検討しなければなりません。これは、ファスナーやクリップ、コネクタにもあてはまります。電界を分散させ、基板でアーク放電のポイントが作られないようにするためには、すべての要素の半径を最大限にする必要があります。

 

 

PCBの表面実装コンポーネント

ケーシングや半田接合はPCBで電界を集中させ、アーク放電の危険を高める可能性がある

 

 

高電圧の応用向けのPCB設計は、非常に難易度の高い作業です。とはいえ、この応用は一般的になっており、避けて通るのは困難です。幸いにも、デザインルールの管理や適切な基板の設計に役立つAltium Designerなどの優れたPCB設計ソフトウェアが提供されています。

高電圧設計に関してご不明な点がある場合は、Altiumの専門家にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

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