マルチボードPCBシステム設計に対応する最良のツール

 

楽しい時間は早く過ぎると人は言います。私がマルチボードPCBを設計しているときに、時間がなかなか過ぎないように感じるのはそのせいかもしれません。EMIの回避すべての正しい接地静電放電の軽減配線の最適化などを考えると、単一基板の設計でさえ大変なのに、物理的にも電気的にもすべてを適合させなければならないPCBシステムの設計となると、苦痛の限界が試されているように感じるときもあります。ところが幸いなことに、マルチボードの回路図の作成を懲罰から楽しみに変えてくれるツールが登場しています。このツールには基板間の接続、MCADインテグレーション、モジュールの組織化という全般的なPCB設計に役立つ3つの機能がありますが、これらは特にマルチボードのPCBに有用です。まず、基板間のルールチェックは悪夢のような作業になるばかりでなく、基板を台無しにしてしまう可能性もあります。ところが、このツールを使用すると、異なる基板全体でのトレースの接続が単純化され、土壇場の変更があったときにも大いに役立ちます。次に、インタラクティブなモデルによって煩わしいクリアランスチェックが容易になり、すべてを整合させて筐体に収めることができます。最後に、モジュールの組織化では、過去に設計した基板やコネクターを使って、新しい回路を作成できます。

 

MCADとの統合

使っているプログラムに3Dモデリングツールを組み込んだところで大したことはないようにも思えますが、実際には設計プロセスに大きな違いをもたらすことができます。PCBのモデリングにMCADを使用することで、巨額なコストにつながるミスを回避できるほか、試作や製造に基板を安心して送れるようにもなります。別の場所にいる機構技術者が使っているツールがご自分の手元にあれば、基板を設計する方法が激変するでしょう。それがどのように実現するかを見ていきましょう。

 

3Dクリアランスチェック

基板を設計した後に試作品が高額になったり、製造の工程で基板が筐体に収まらなかったりしたことはありませんか? 私は一度そのような経験をしましたが、それは試作に送る直前に電解コンデンサーを設計に追加したときのことでした。後になって、クリアランスの計算が少し間違っていたことがわかったため、機構技術者に設計データを送ってモデリングとチェックをしてもらってから、モックアップに戻しました。製造の工程でそのようなミスが見つかってしまったら、上司に何と説明すればよいでしょう。クリアランスチェックはリスクが高くなりますが、特にマルチボードのPCBの場合はそれが顕著です。非常に高額な3Dパズルのようにすべてを適合させ、それを筐体に収める必要があります。筐体は社内のスタッフが設計する場合もあれば、そうでない場合もあります。私は自分のことを出来の悪い設計者だとは考えていませんが、使っているシステムの3Dモデルがなければ、気付きにくいミスをしてしまうでしょう。

 

いつでも可能なモデリング

今では大半の設計者が基板のコンピューターモデルを使っていますが、それらを構築するのは設計者ではなく、通常は機構技術者の仕事です。とはいえ、別の人に変更を何度も送ることなく、設計者自身がモデルを作ってクリアランスチェックができるとすればどうでしょう? これは、MCADプログラムを勉強して文字通りにすべて自分で作業をする、という意味ではありません。私が言いたいのは、回路基板ソフトウェアに仕事をしてもらうということです。これを実現するのは、高度に統合されている優れたMCADツールです。現在では、個々のコンポーネントの3Dモデルを生成し、すべての要素を含む基板のモデルを作成できるツールが提供されています。高度なツールであれば、筐体の3Dモデルをインポートし、クリアランスチェックを実行できるものもあります。こういった機能があれば、誰かを間にいれることなくMCADを自分で進めることができます。たとえば、電解コンデンサーが適合しているかどうかも、ボタンを数クリックするだけで確認できます。

 

 

 

 

基板間のエレクトリカル ルールチェック

エレクトリカル ルールチェックはソフトウェアによって自動的に基板レベルで実行されるため、通常はそれほど面倒なものではありません。とはいえ、接続が複数の基板にまたがる場合、接続を追跡するのはほぼ不可能です。システム全体をチェックし、電気的にも機械的にもすべてが適合しているかどうかを確認できるプログラムはごくわずかです。これが可能なツールでは、さまざまな基板にまたがってルールチェックを実行できるため、設計中のすべての準備を整えることができます。また、筐体の変更や他の外部的な要因によって、PCBで大幅に接続を修正しなければならない場合の再設計にも大いに役立ちます。

 

開発中のエラーチェック

すべての接続を適切にするために、システム全体の基板ごとにネットを配線することほど面倒なものはありません。私の場合は、自分の尻尾を追いかけ回している犬になったような気分になります。ミスが見つかると修正し、また一から配線をやり直さなくてはなりません。マルチボードPCBシステムの優れた設計プログラムは、システム全体の接続の配線に役立つだけでなく、不適切な箇所がある場合はそれを自動的に通知してくれます。設計の終盤ですべてを見直すのではなく、配線に行き止まりがあるとしたら、最初にそれを把握できるようにしておく必要があります。

 

EMIの軽減

ソフトウェアは、すべてのネットをハイライト表示して、その配線場所を把握できるものが望ましいでしょう。こうした機能は、EMIに対処する際に特に有用です。FCC認証は面倒になることがありますし、放射電解強度伝導放出のテストを2度も行いたくはありません。基板全体で配線信号に伴う干渉の問題は数多く存在します。PCBの高速配線差動ペアアナログとデジタルの割合には慎重になる必要があります。おそらく、star groundは使用できないうえ、システム全体で電流の帰還路に注意する必要があるため、適切な接地も不可欠になります。接続が配線されている場所を正確に表示できるツールがなければ、こうした微妙な点をすべて把握するのはほぼ不可能です。

 

再設計を簡単に

ネットのハイライト表示はEMIの軽減に有効なだけでなく、設計時間の節約にもつながります。私は、ゲームのシステムレベルの遅い段階での変更が原因で、PCBを修正するか、完全に破棄する必要があったプロジェクトに携わっています。機構技術者が筐体を微調整する必要がある場合、設計者にはどうしようもないときもあります。そういった調整によって、いくつかのピンやバス接続を移動させる必要がでてくることもあるでしょう。ネットをハイライト表示できるツールを使わずにこれに対応しようとすることは、無駄足になる恐れがあります。現在、すべての配線を表示できるソフトウェアでは、これまで不可能だったことが容易になっています。

 

 

 

 

モジュールの組織化

一見、この機能はMCAD統合やシステムレベルのエレクトリカル ルールチェックほど素晴らしいものには思えないかもしれません。しかし、実際にはかなり有用で、過去のデザインの再利用に役立つことを実感できるでしょう。これまでに嫌というほど作成してきたPCBを設計し直して、時間を無駄にする必要はもうありません。こうしたツールでは設計時間が大幅に節約されるため、新しくて有意義な仕事に集中できるようになります。

 

標準設計

ソロモン王はかつて「太陽の下に新しいものは何ひとつない」と言いましたが、それはPCBにも当てはまるようになっています。モノのインターネット(IoT)などの領域に携わっている方は、必要になるさまざまなコンポーネントについてすでにご存じでしょう。WiFi向けのモジュールやBluetoothはもちろんのこと、機器の通信を可能にするための5Gもすぐに必要になるでしょう。ウェアラブルを設計していて、それをユーザーにとって便利なものにしたいと考えているのであれば、独自のコネクターを構築するのではなく、できればマイクロUSBコネクターを活用したほうがよいでしょう。こうしたモジュールを再び構築して接続することで、PCBを設計しなければいけない理由はどこにもありません。優れたマルチボードソフトウェアではシステム全体をモジュールにできるため、新しい製品を設計するたびに一から始める必要はありません。

 

設計時間の短縮

IoTの爆発的な成長コネクテッドカーの登場などにより、PCB設計にはたくさんの作業が付随するようになっています。そのため、以前に手掛けた設計を一からやり直すような時間の無駄遣いはできません。設計のモジュール化に対応するPCB設計ソフトウェアでは時間を節約できるため、新しい最先端機器の設計に集中できます。もちろん、確かなモジュールの設計と統合は、前述した最初の2つの機能がないと実現しません。過去の設計データをインポートできたとしても、モデリングやクリアランスチェックのために誰かに何度もデータを送らなければいけないのなら、設計を一からやり直したほうがよいかもしれません。マルチボードPCBのエレクトリカル ルールチェックでは、サブシステムをインポートしてすぐに接続をチェックできます。つまり、上記の3つの機能が揃ってはじめて、設計プロセスを改革できることになります。

 

現在のところ、優れたPCB設計ソフトウェアにこうした機能をすべて追加できるプログラムはAltium Designerしかありません。このソフトウェアには数多くの優れた機能が搭載されており、新しくて刺激的なPCB設計が可能になります。Altium Designerにはここでご紹介した機能が含まれているほか、マルチボードPCBシステムの対象範囲も拡大されつつあります。PDN解析ツールますます重要になっているリジッドフレキシブルの対応など、単一基板の設計機能はすでに改良されています。

 

マルチボードの設計に関してご不明な点がありましたら、アルティウムの専門家にお電話でお問い合わせください。

 

 

 

 

 

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