全日本学生フォーミュラ大会で3連覇を目指すGrandelfino

Grandelfino 2018年レーシングカー

 

Judy Warner: 岸さん、本日はお忙しい中お時間を頂きありがとうございます!今回、日本から初めてのインタビューをすることができ大変嬉しく思います。岸さんは京都工芸繊維大学出身で、今年3回目の学生フォーミュラ大会で優勝を目指すGrandelfinoプロジェクトチームの一員です。今回は日本語でのインタビューとなりますので、アルティウムのAPAC マーケティングマネージャーである高浜が取材をさせて頂くことになりました。

 

高浜: Judy、紹介ありがとうございます。岸さん、本日はプロジェクトに関するお話しいただく機会を頂戴しありがとうございます。早速ですが、チームがどのような活動をしているのか、チームがいつどのように結成されたのかを教えてください。

 

岸: 私たち、学生フォーミュラプロジェクト”Grandelfinoは年に一度開催されている「全日本学生フォーミュラ大会」に出場している京都工芸繊維大学のレーシングチームです。大会に出場するために、毎年1人乗り・フォーミュラスタイルのレーシングカーを設計・製作しております。チームは2005年に弊学自動車部の有志により結成され、以後12年に渡って大会に出場し続けてきました。

 

高浜: チームメンバーは現在何人いますか? 主に大学生ですか、大学院生ですか、それとも混成ですか?

 

岸: 現在、大学生・大学院生を合わせて45名のメンバーが在籍しています。大学生を中心としてチーム運営・車両製作などを行い、大学院生はアドバイザーを担っています。メンバーの半分以上が機械工学を専攻していますが、その他に応用化学課程やデザイン・建築学課程、電子・情報工学課程に属しているメンバーもいます。

 

高浜: 資金はどこから得ていますか? 学内では、どのようなタイプのツールを利用できますか?

 

岸: 大学からいただいている活動資金が50%、メンバーからの会費が40%、スポンサー企業様からのご支援金が10%になります。工作作業については、学内に設置された工作センターで大半の作業を行なっております。設計や解析作業には、アルティウムなどのスポンサー企業様よりご支援いただいているソフトウェアを使用しています。

 

 

Grandelfino - 2017年 全日本学生フォーミュラ 表彰式

 

 

高浜: チームが最も誇れる成果は何でしょうか? また今後の抱負もお聞かせください。

 

岸: 弊チームは全日本学生フォーミュラ大会において2012年に初の総合優勝、2016年、2017年に大会2連覇を成し遂げ、合計で3度の総合優勝を勝ち取りました。これは、本大会においては最高タイの優勝回数で、弊チームが誇れる成果だと考えています。

 

今後の抱負ですが、この先も永く勝ち続けられるチームであるために何をするのがいいかを考え、チームをより強いものにしてゆきたいと考えています。検討しているものの中の1つとして、電気チームでは、現在採用しているガソリンエンジン以外の動力(つまりは電動モーターですが)についても検討することにしました。その一環として電気駆動の試製車両を作成する準備を進めています。実際に製作して現在の車両と比べてどうなのか、利点と欠点は何かなどを調べてゆきたいです。

 

高浜: 電気チームのメンバーは何人ですか? ご自身の専攻と学年も教えてください。

 

岸: 電気チームは学部2回生4名、学部3回生1名、修士1回生1名の計6名で構成しています。国内の他チームと比べると人数は多いですが、外国のチームと比べると人数は少なく、実際に電気チームの全員が車両各部の回路設計、基板設計・製作、プログラミングなどを兼任しています。私は、情報工学を専攻している3回生です。

 

 

Grandelfinoチーム 2017年 全日本学生フォーミュラ

 

 

高浜: 自動車用の回路基板や電気系統の設計で電気チームが直面している主な課題や特殊な問題は何ですか?

 

岸: 基板自体の耐久性が課題になります。弊チームの車両は動力に単気筒エンジンを採用していますので、複数気筒のエンジンや電気モーターなどを使用した方式に比べ振動が激しいのが難点です。これまでに、背の高い部品について半田付け部にクラックが入って接触不良を起こすなどの問題がありました。また、車両に電気部品を乗せるスペースが少ない(車両自体が非常に小さい)ため、できる限り基板を小型化しなければならないという課題もあります。

 

高浜: 電気チームでは、何種類くらいの回路基板を設計してきましたか?

 

岸: 大会での走行時に車両に搭載している基板は5種類程度ですが、それらの基板については設計ミスなどの影響で大会までに何度か設計をし直す必要がありました。他にも計測用センサーモジュールやテレメトリ用の通信モジュール、車載ECUと通信可能なロガーなどを並行して設計していました。

 

高浜: 学生フォーミュラの詳細と今年の競技会の開催場所、開催時期を教えてください。今年の目標などありましたら、ぜひお聞かせください。

 

岸: 2018年度の「全日本学生フォーミュラ大会」は9月4日から8日までの5日間、静岡県掛川市にあります「エコパ(小笠山総合運動公園)」にて行われます。前半の2日間は車両の設計や製造コストなどを書類上で審査する「静的審査」が、後半の3日間には実際に車両を走らせて性能を競う「動的審査」が行われる予定です。今年度も大会において総合優勝をし、大会史上初の3連覇を掴み取ることを目標にして活動しています。

 

高浜: この経験が、将来のキャリアにどのように役立つとお考えですか?

 

岸: 「学生たちに実践的なモノづくりをさせること」というのが学生フォーミュラの目標にあります。大学のカリキュラムでは、理論的なことについて学ぶ機会はたくさんありますが、実際に手を動かしているわけではないので、学んだことの大半は学んだだけで終わってしまいます。学生フォーミュラの活動は、講義などで学習したことを、実際に手を動かしてモノづくりに繋げられるということが一番の強みではないかと考えています。学生が学んだことについてアウトプットする機会を持っているというのは、今後どのような職種についたとしても、必ず役に立つことだと考えています。

Grandelfino - Altium Designerで設計中の基板(表)


 

高浜: Altium Designerを導入したきっかけや理由を教えてください。また、Altium Designerの気に入っている機能や導入した際のポイントなどございましたら教えてください。

 

岸: 弊チームでは、3年ほど前からPCBの設計・製作を行ってきましたが、以前使用していたECADではMCADとの連携が取れない・高周波回路の設計が困難・シミュレーター機能の不足等の問題を抱えていました。代替となるECADを探しているときにAltium Designerの評価版を使用し、上記の弱点をカバーしているのはもちろん、デザインルールの詳細な設定やActive Routeの賢さなどに驚かされ、導入を決定しました。

 

高浜: チームの課題についていくつかお聞かせください。また、Altium Designerが設計にどのように役立ったか教えてください。

 

岸: PCBの設計ミスが目立つところに頭を悩ませています。ミスの種類は、部品同士の機械的干渉やフットプリントの設定ミスなどとても単純なものでしたが、今までのECADでは設計段階で気づくことは困難でした。これらのミスの撲滅にAltium Designerは非常に貢献してくれると期待しています。

 

また、先にも述べましたが、現在電気自動車の試作を進めていて、これまでに無い高電圧・大電力の回路を扱う基板を設計してゆくことになります。設計する基板の数も膨大なものになる予定です。これらの設計時間の短縮・設計品質の向上にAltium Designerの様々な機能が役に立つはずです。

 

高浜: 本日は貴重な体験をお話いただきありがとうございました。全日本学生フォーミュラ大会で3連覇することをお祈りいたします!

 

岸: ありがとうございました!

 
 
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