ECADデータライブラリの管理

David Marrakchi
|  投稿日 March 6, 2017  |  更新日 December 15, 2020

 

ECADデータライブラリの適切な管理が行えないため、設計プロセス全体が停滞していないでしょうか? 多くのエンジニアは、データのライフサイクルを管理するための確実なリソースを必要とするため、この問題に頻繁に直面します。多くの場合、新製品の特長や機能を決定する最も重要な要素は電子機器です。私たちは、単純な消費者向け電子機器から、高度なMRI装置までにわたる多くの形式で、電子機器を毎日使用しています。電化が進んだ今日の世界では、ECADデータのライフサイクルを効果的に管理できるかどうかが、ビジネスの成功と失敗とを左右する要因となります。

 

製品が失敗する可能性は常に存在しますが、ECADデータライブラリを効率的に管理および監督できないことが失敗を招く可能性は排除するべきです。残念ながら、データ管理が適切でないために不整合が発生し、エラーの可能性が増大することは珍しくありません。これは製品のコストと品質に影響するだけでなく、チームの生産性、効率性、協調性にも悪影響をもたらします。

 

ECADデータライブラリの管理が重要な理由

 

適切なシステムを使用しないと、ECADデータライブラリの管理は極めて困難になる可能性があります。非常に単純なプロセスでも、不注意により破滅的な結果をもたらす場合があります。適切なツールを使用していないと、ECADデータの管理でミスが発生しやすく、このような見過ごしにより予期しない多くの事態が発生する可能性があります。最悪のシナリオとして、リリースしたばかりの製品に致命的な(しかし回避可能な)エラーが発見されたため、すべての同じパラメータを使用して再作成が必要になることが考えられます。この場合、開発プロセスのすべての手順を見直し、すべてのドキュメントを更新し、訂正についての承認を受け、その他改定に伴い要求される変更を行う必要があります。このようなエンジニアリング作業は大きな苦痛となります。

ECAD data topics in a thought bubble

 

 

発生し得るあらゆる問題の可能性を考慮すると、ECADデータライブラリを管理するとき、次のような目標を想定した、単純で包括的な戦略を組み入れることが極めて重要です。

 

  • データの整合性の保証
  • 新しい部品の要求と作成の簡素化
  • 部品のライフサイクルとリビジョンの管理
  • 重複した部品の排除
  • 承認済み部品の使用場所管理の合理化
  • ベンダーへの承認済みリストの表示
  • 既存のツールとの統合
  • ユーザー制御アクセスの実現
  • ECADライブラリのグローバルな共有

ECADデータライブラリ管理の基本理念

ECADデータ管理のプロセスを合理化するための組織化された、使いやすいシステムを実装することで、エラーの可能性を減らし、プロジェクトを予定の期間と予算で完了できるようになります。ECADデータライブラリの管理には他の要素もありますが、このツールに深く関係する、いくつかの大きな要因は次のものです。

 

  • データの整合性
  • ライフサイクルを通しての状態の管理
  • 部品の再利用
  • 調達

 

 

ECAD data management process flow chart example

 

リスク低減とサプライチェーン破断の可能性の最小化

 

フォールバックシステムを用意し、プロセス全体をやり直さないで、デザインへ新しい部品を挿入できるようにしておくことで、効率化となります。このような方法が標準化されていれば、エンジニアは改定と承認のプロセスに伴う面倒を避けることができ、プロジェクトが予定の期間と予算内で完了することに自信を持つことができます。簡単に言えば、サプライヤーの評価プロセスに長期的な影響を与えるのはリスク低減であると言い切っても過言ではありません。これにより、開発チームのベンダーの開拓が制限される可能性がありますが、サプライヤーが御社のビジネスの要求へ適切に対応していることを保証できます。

 

ECADデータライブラリを資産として扱う

設計プロセスの改良は困難な課題です。特に、生産的な作業の流れを阻害することなくエラーの余地を減らすことを目標とした場合、さらに困難なものとなります。構造化された計画なしに開発プロセスに取り組み、データのライフサイクル全体の追跡を行おうとすると、失敗の可能性が高まります。しかし、これを回避する方法があります。ECADデータライブラリを資産として扱うことで、はるかに円滑で、より効率的な設計プロセスを実現し、長期的に時間とコストを削減可能です。

 

筆者について

筆者について

Davidは現在、Altiumのシニアテクニカルマーケティングエンジニアを務め、すべての Altium製品のテクニカルマーケティング資料の開発管理を担当しています。また、ブランディング、ポジショニング、メッセージングなどの製品戦略を定義するために、マーケティング、セールス、カスタマーサポートの各チームと緊密に連携しています。Davidは、EDA業界での15年以上の経験をチームにもたらし、コロラド州立大学でMBAを取得し、Devry Technical Instituteで電子工学の理学士号を取得しています。

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