組み込み型ソーラーシステム向けのPCB設計ガイドライン

雨の中で傘を差している人

 

 

旅行から戻って来た直後に、もう一度旅行に出掛けたいと思ったことはありませんか? 私にはそんな経験があります。前回のビーチリゾートでの休暇が、雷雨が続いたせいで台無しになってしまったのです。旅行の計画を立てるときは、予測できない天気というものがいつもジレンマになります。アウトドアで過ごす予定があればなおのことでしょう。

屋外での使用が想定される組み込み型のソーラーシステムを設計する際、私はこれと同じ慎重な姿勢で取り組みようにしています。こうしたシステムは、安定した電力供給で稼働する組み込み型のシステムとは完全に異なる難題です。例によって、私は苦労の末に慎重になることを学びました。というのも、最初に手掛けたソーラー式の試作は、1日でも雨が降ると稼働しなくなってしまったからです。

組み込み型ソーラーシステムについては考慮すべき状況がたくさんあり、太陽光のない状態で何日も稼働するように計画しなければなりません。

組み込み型ソーラーシステムの設計で考慮すべき要素

1. ソーラーパネル

言うまでもなく、ソーラーシステムで最も重要なの要素はソーラーパネルです。これについては、多結晶や薄膜よりも効率がよく、暑い気候でも優れた性能を発揮する単結晶を選択したほうがよいでしょう。パネルの中には最大22%の太陽光を電力に変換できるものもあります。とはいえ、単結晶や多結晶の効率はサプライヤーによって異なるため、事前に詳細情報を確認しておきましょう。

2. 電池の容量

組み込み型のソーラーシステムで重要なパラメーターは、ソーラーパネルの性能が0%になった場合のシステムの持続性です。環境要因によっては、ソーラーパネルに数日や数週間、太陽光が届かない場合もあります。そこで必要になるのは十分な容量のある電池です。また、ソーラーパネルの充電率が電池の使用率を上回るようにしておく必要もあります。5時間かけて充電した電池が2時間で消耗してしまっては、とても効率的とは言えません。

3. 太陽光の照射

考え方によっては、ソーラー技術はいたって単純です。太陽光がなければ電力は生成されません。ただし必ずしも、8時間分の太陽光で8時間分の電力が生成されるわけではありません。「太陽光ピーク時間」という用語がありますが、これは太陽が空の最も高い位置にあって、ソーラーパネルが一番効率的になる時間帯を指します。こうした要素について認識し、太陽光ピーク時間を算出しておくことが望まれます。

4. 埃などの妨害物

ソーラー式のパーキングメーターが充電切れになってしまったことがありました。何時間もかけてすべてのハードウェアを確認したところ、設備が木の下に設置され、ソーラーパネルの一部が影になっていることがわかりました。ソーラーパネルがほんの一部でも、埃や影、落ち葉に邪魔されていると、性能が大幅に低下することがあります。使用される場所に合わせて設計を考える必要があるのは、これが理由なのです。

 

 

パーキングメーター
たった1枚の葉っぱでも、ソーラーパネルの性能を0%近くまで低下させる可能性がある

 

 

5. 電力集約型モジュール

電力集約型モジュールは電池を早く消耗します。ただし、一部の用途では感熱式プリンター、WiFi、GSMモジュールなどの電力集約型モジュールが必要になります。この場合は、モジュールによる電力の使用について理解、予測して、ソーラーパネルの能率と電池の容量を計画に入れなければなりません。たとえば、システムからデータセンターに情報を送信するために、1日に2回だけGMSモジュールを起動するなどです。想定されるデータの容量や送信速度を正確に算出することで、送信中に消費される電力量を割り出すことができます。

6. ファームウェアのアーキテクチャ

ファームウェア プログラマーには、ソーラー式でないシステムでマイクロコントローラーを最大限に使うことが許されるものの、太陽光発電ではこのプロセスに細心の注意を払う必要があります。ここでは、適切なファームウェアを構築することにじっくりと取り組む必要があります。そうすることで、組み込み型のソーラーシステムは曇り空であっても、数日ではなく数週間にわたって稼働できる場合もあります。ソーラーシステム向けのファームウェアを開発する際の最適な方法は、使用していないマイクロコントローラーをディープスリープ モードにしておくことです。つまり、マイクロコントローラーは設定した割り込みや指定したタイマーによってのみ起動するようにしておきます。

7. 電力効率のよいハードウェアの設計

組み込み型ソーラーシステム向けのハードウェアの設計では、アイドル電流を最小限にすることが不可欠です。ソーラー式でないシステムでは1mAの電流を節約してもあまり意味がありませんが、ソーラーシステムでは曇りの日の稼働時間を延長することができます。優れた戦略は、マイクロコントローラーによって制御される周辺機器や論理回路への個別の電力チャンネルを設けておくことです。こうすることで、マイクロコントローラーの稼働モードに関係なく、システムが使用されていないときの電力の無駄遣いを回避できます。

 

 

 PCB上のマイクロチップ
最良の組み込み型のソーラーシステムは、非稼働時に最低限の電力だけを消費する

 

 

電源分配ネットワークの解析が必要な理由

砂漠で身動きがとれなくなったとすれば、水がどれほど貴重なものかを実感するに違いありません。手元にほんの数滴しか残っていなければなおのことでしょう。これは、組み込み型ソーラーシステムの電力効率にもあてはまります。電源分配ネットワーク(PDN)の解析では、PCBの銅箔トレースが負荷に対して効率よく電力を供給するのに十分かどうかを評価できます。銅箔の領域が狭かったり、銅箔プレーン間でビアが小さすぎるのは避けるべきでしょう。それらが原因で抵抗損失となり、不要な熱が発生するからです。設計段階でのこうした電力の無駄遣いは排除したいところです。ソフトウェアにこの機能があれば活用すべきでしょう。

組み込み型ソーラーシステムの設計では、AltiumのPDN Analyzerなどの内蔵ツールを使って、デザインを製造にリリースする前にパワーバジェットを超えないようにすることができます。

組み込み型ソーラーシステムの設計に関してご不明な点がある場合は、Altiumの専門家にお問い合わせください。


 

 

 

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