スイッチングとリニアの電圧レギュレーター: どちらが電力管理回路に最適か

7805電圧レギュレータ

 

 

目の前でコンデンサーが爆発したのを見たことがありますか? 私が電子機器の設計を始めたとき、まさにこれを体験しました。また私は、最初は「単純な」プロジェクトと設定されていたもので、パワーバジェットの計算に失敗しました。その結果、試作のPCBで電圧レギュレーターが、目玉焼きができるほど、またはもっと酷く真っ赤に焼けてしまいました。

 

それ以後に私は、設計の優雅さや洗練さはそれほど重要でないことに気付きました。電力管理回路の構成で間違いを犯せば、その設計は事実上無価値になってしまいます。パワーバジェットの計算、周囲の温度、そして私の事例では電圧レギュレーターなど中核の電力管理コンポーネントの選択が、PCBプロジェクトの成功を左右することがあります。

組み込みシステムにおける電力管理回路の機能

私は組み込みシステムの設計を10年以上行い、マイクロコントローラーの驚異的な進化を目にしてきました。マイクロコントローラーは、歴史的なZilogから今日のCortex M4プロセッサーまで進化してきました。Bluetooth LEやZiBeeなどのテクノロジーにより、組み込みシステム業界はさらに変革しました。しかし、電力回路を適切に設計する必要性は依然として変わっていません。適切な電力回路なしでは、このような優れたテクノロジーもただの「部品」にすぎず、しかも過熱し、溶けて燃えはじめ、悪臭を放つことになります。

コンデンサーを別として、適切に設計された電源回路の中心には必ず電圧レギュレーターがあります。その名前が示すように、電圧レギュレーターは安定した電圧を供給し、組み込みシステムが安定して動作できるようにします。電圧レギュレーターは高電圧の入力を受け付け、電子デバイスの動作に必要な電圧に降圧し、同時に安定化を行います。

3.3Vのコンポーネントが一般的になる前は、マイクロコントローラー(MCU)と集積回路(IC)はすべて5Vで動作していました。LM7805は単純な5Vのリニア電圧レギュレーターで、当時良く知られていた部品番号です。実際に、この製品は単純で極めて洗練されているため、今日でも一般的に選択されています。3.3Vが主流の動作電圧となったとき、LM1117-33が効率的なリニア電圧レギュレーターとして使われるようになりました。

リニア電圧レギュレーターの制限

集積回路が3.3V対応に移行した期間があり、この期間にマイクロコントローラーは急速に進化しました。設計者は従来、マイクロコントローラーの入力と出力の数を重視していました。その後で、UARTS、イーサネット、USBなどの統合された機能の数と、急速に増大していく処理能力に注意を向けるようになりました。やがて、リニア電圧レギュレーターは限界に直面することになりました。

 

 

黒色のアルミ製ヒートシンク

これらの手軽なヒートシンクによって、リニアレギュレーターを冷却できます。

 

 

多くの人々は、リニア電圧レギュレーターを扱うとき、電流定格を絶対視するという初歩的な過ちを犯します。これが大きな問題となったのは、LM7805電圧レギュレーターの定格は5V、1.5Aだったためです。しかし、実際にこの電圧で扱うと、良くて一部のコンポーネントが溶け、悪ければプロセス内で燃焼が発生する恐れがあります。リニア電圧レギュレーターを選択するときは、最低でもあと3つのパラメーターを考慮する必要があります。   

 

消費電力のレベルは、入力と出力の電圧差を考慮し、その値と負荷電流とを乗算することで計算できます。12Vを5Vにレギュレートし、組み込みシステムが100mAを消費するなら、消費電力は0.7Wです。これを念頭に、LM7805は最大125℃の温度で動作できることに注意します。この温度を超えると、溶解や燃焼など望ましくない現象が発生します。

しかし、TO-220パッケージの一般的なLM7805の熱抵抗は65℃/Wです。すなわち、周囲の環境温度に加えて、1Wごとに65℃だけ温度が上昇します。一部の地域では平均気温が約35℃なので、動作時のLM7805は100℃に達します。定格最大電流である1.5Aの10%未満しか使用していないにもかかわらず、許容される最大温度に近づくことになります。

スイッチング電圧レギュレーターが、文字通り冷静な選択である理由

リニア電圧レギュレーターは、その特性から電力要件の大きいシステムには理想的な候補ではありません。これは、生成される熱により、レギュレーターに損害が発生したり、近くのコンポーネントの寿命を縮めたりする可能性があるためです。このため、スイッチングレギュレーターが注目されています。その名が示すように、スイッチングレギュレーターはスイッチを非常に高速でオンおよびオフし、安定した電力を効率的に供給するものです。スイッチングレギュレーターは熱を極めて効果的に発散するため、温度が低下し、文字通りメルトダウンが発生する危険を最小限に抑えます。

 

 

「効率向上」と書かれたグラフィック

スイッチングレギュレーターは効率が最優先されています。

 

 

私が使用した部品はLM2576です。これは一般的なスイッチングレギュレーターで、3.3Vのレギュレート時に75%の効率で動作します。動作時に、同等のリニアレギュレーターよりもはるかに発熱が少ないため、高電圧から低電圧へのレギュレートが必要なアプリケーションに理想的です。また、常時高い容量で実行される組み込みシステムにも適しています。


スイッチングとリニア電圧レギュレーターの比較

スイッチング電圧レギュレーターは高い効率を実現しますが、2つの条件から、常に適切な選択肢とは限りません。スイッチングレギュレーターのコストと、必要なパッシブコンポーネントです。これらは大きなもので、リニア電圧レギュレーターといくつかのコンデンサーを使用する場合と比べて、最高で30倍ものコストとなる可能性があります。

また、スイッチングレギュレーターには多くのパッシブコンポーネントが必要です。パッシブコンポーネントの数が増えると、保守もはるかに複雑になります。コイルとコンデンサーの値を注意深く選択する必要があります。またこれは、PCB上により多くの面積が必要なことも意味します。

簡単に言うと、多くの電力を消費しない単純なアプリケーションを設計する場合、リニア電圧レギュレーターが論理的な選択肢です。しかし、大電力のプロジェクトに従事している場合や、産業用電圧の24VDCを3.3Vシステムに降圧する場合、スイッチング電圧レギュレーターの使用を考慮すべきかもしれません。

 

電力管理回路についてのご質問や、スイッチング電圧レギュレーターの設計に関するヒントやベストプラクティスについては、AltiumPCB設計の専門家にお問い合わせください。




 

Previous Article
組み込み型ソーラーシステム向けのPCB設計ガイドライン
組み込み型ソーラーシステム向けのPCB設計ガイドライン

ご自身のことを悪天候に敏感だとお考えであれば、組み込み型ソーラーシステムには太刀打ちできないかもしれません。

Next Article
Power Delivery Network解析が、効果的なPCB設計に不可欠な理由
Power Delivery Network解析が、効果的なPCB設計に不可欠な理由

たとえ優れた設計者であっても、電源のエキスパートであるとは限りません。

Altium Designerの無償評価版を入手する。

無償ダウンロード