SpaceX Dragonの宇宙ステーションへの再利用カプセル打ち上げがPCB設計に及ぼす変革

SpaceX Dragon

 

月を見上げて、宇宙の神秘に思いを巡らせたことはあるでしょうか?月をぼんやりと見つめていると、ときどき動いている星を目にすることがあります。国際宇宙ステーション(ISS)は地球から見えることがあり、人類が宇宙で達成した偉業を常に思い起こさせてくれます。SpaceXは最近、使用済みのカプセルを使用してISSに再度補給を行うという新たな挑戦を成し遂げました。SpaceXが宇宙船の再利用を発展させたことで、宇宙はさらに商業的に手の届くようになっていくでしょう。宇宙への打ち上げがより一般的になるにつれ、PCBの設計者は厳しい宇宙環境と、宇宙への打ち上げ過程に耐えられる基板の設計を迫られるようになるでしょう。宇宙では急速な温度変化や、激しい加速があるため、設計者は基板の機械的特性および材質の特性についてさらに検討を行う必要があります。

 

Dragonカプセルのドッキング: 第2部

 

SpaceXは2012年に、ISSとドッキングした初めての民間企業になりました。最初のドッキングはSpaceXにとって大きな偉業でしたが、同社はさらに大きな目標を目指しました。2017年6月5日に、同社は再度ステーションへの再補給を行いましたが、今回は以前に使用したDragonカプセルを再使用しました。SpaceXは再利用を使命としており、ロケットの着地と再使用を行ってきましたが、カプセルの再使用はこれが初めてです。次の目標は、ロケットとカプセルの両方を再補給ミッションに再使用することです。

 

SpaceXが何回も利用可能な宇宙船を熱心に追及している理由は、単純な費用の問題です。同社の目標は、宇宙旅行をより安価にすることです。ロケットやポッドを再装備する方が、新しいものを作るよりもはるかに安価です。打ち上げが安価になれば、打ち上げ回数が増えることを期待できます。SpaceXの長期的な目標である火星への到達も、宇宙ミッションの増大を意味します。同社は、繰り返し利用できるロケットを、地球と火星との間の往復飛行に送り出すことを計画しています。平均的なPCB設計者は普通、宇宙についてあまり考えることはありませんが、惑星植民地が視野に入ってきた今、宇宙を考慮に入れるべき時が来ました。

 

明るく熱いオレンジ色の太陽
急速な熱サイクルは、PCBに破壊的な影響を与える可能性があります。

 

温度についての考慮事項

 

私たちは通常、宇宙を「冷たい」と考えがちです。しかし驚くべきことに、実際には宇宙は極めて熱いこともあります。直射日光は、そのエネルギーを吸収する大気がない場合、極めて多くの熱を発生させます。宇宙船が惑星を周回、または回転するとき、宇宙船は太陽に照らされたり、影になったりを繰り返すことになり、巨大な温度差が発生します。この熱サイクルにより、PCBの電気的特性が変化し、寿命が縮まる可能性があります。

 

高性能の基板を設計するときは、使用する材質と、その比誘電率(Dk)について検討します。宇宙についての問題の1つは、温度の上下動から材質のDkが変化する可能性があることです。これは、温度によって、絶縁体を構成する極性化された分子の再配向が発生するためです。基板のDkは、温度によって増大することも、減少することもあります。これは明らかにPCBへ悪影響を及ぼします。このため、ロケット用のPCBを設計するときは、どのような温度でもDkが維持されることを確認する必要があります。

 

温度には、これ以外にもいくつかの明白な影響があります。設計ではおそらく、材質の熱膨張係数(CTE)を考慮するでしょう。基板が直射日光下から完全な影に移動すると、非常に大きな温度変化が起き、膨張と収縮が発生します。適切な材質を選択しておかないと、このアコーディオン効果により基板が破損し、障害が発生します。宇宙は過酷な環境であるため、どのような温度にさらされても問題が起きないような、十分に柔軟な材質を選択する必要があります。

 

材料に関する限り、主な懸念事項はDkとCTEの2つです。広い温度範囲にわたってDkが十分に一定である材質を選択する必要があります。温度については、熱を受けても破損しない材質を選択します。

 

SpaceX Falcon 9の打ち上げ
打ち上げ時の振動は悪影響を及ぼします。画像提供: Nadezda Murmakova/Shutterstock.com
 

 

振動

 

柔軟性といえば、基板には機械的な柔軟性も必要です。PCBに関して、宇宙ミッションの最も危険な部分は打ち上げです。打ち上げ中には宇宙船に巨大な力が加わります。宇宙飛行士を苦しませる加速と振動は、基板も同じように混乱させます。

 

発射時の主エンジンは波を生み出し、船の各部に問題を引き起こす可能性があります。この振動は、特にPCBにとって破壊的です。振動に対処する適切な方法は柔軟性です。リジッドフレキシブル基板は、一般に従来型のPCBより軽いため、振動の影響を受けにくくなります。軽量な回路は、宇宙船の貴重な重量も節約できます。フレキシブル回路はその性質上衝撃を回避しますが、依然として特定の種類の振動に合わせて設計する必要があります。適切に設計すれば、フレキシブルおよびリジッドフレキシブル基板のどちらも正しく動作します。これらの種類の基板は既に、ヘリコプターから衛星まで、航空宇宙用途で使用されています。

 

今日では宇宙旅行はそれほど稀ではありませんが、将来はさらに一般的になることは確実です。SpaceXのような企業は、商用宇宙産業において大きく進展しつつあります。SpaceXが目標を達成し続けるにつれ、宇宙探査用にさらに多くのPCBが設計されるようになるでしょう。宇宙向けのPCBを設計するときに考慮すべき2つの主要な要素は、熱サイクルと振動です。宇宙における温度の大きな上下動により、PCBに熱膨張による障害が発生する、または基板のDkの変化により機能が低下する可能性があります。振動は単純に、基板を破壊する恐れがあります。しかし、リジッドフレキシブル基板を使用することで振動の影響を緩和し、基板が無事に宇宙に届くことを保証できます。

 

PCBと宇宙についてのご質問は、Altiumの専門家にお問い合わせください。

 

 

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